「輝く今日を見つめて」2014.11.17

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 日本の未来
 2015年3月期の連結純利益が上場企業で初めて2兆円に乗せる見通しとなったトヨタ。
 消費増税後で回復が遅れている日本や中国など新興国の不振を主力の
北米市場の販売促進と原価の改善で乗り切り最高益を叩き出しました。また、通期で
想定していた為替レート104円に対し、日銀の金融緩和により足元では114?115円と
乖離していることから決算の更なる上方修正に期待が持てそうです。
 
 そして、いよいよ明日11月18日、満を持して世界初となるトヨタの燃料電池車
(FCV)ミライがお披露目となります。もうご存知かと思いますが、FCVとは水素と
酸素の化学反応によって生み出す電気をエネルギーとして走り、水しか排出しない
究極のエコカーと呼ばれています。
 お値段は市場販売価格700万円ですが、政府からの補助金200万円が免額される
ため実際の負担額は500万円となります。初年販売の700台は官公庁を中心に
納品先が決まっており一般ユーザーの手元に届くことは残念ながらなさそうです。
他にも2015年の概算要求で水素関連401億円、FCV関連300億円と合計700億円の
予算が組み込まれており、政界政界を巻き込んだ水素元年の幕開けとなります。
 
 FCVなど水素改革に力を注ぐ理由には、エネルギー(資源)に対して脆弱な日本が
初めて主導権を持って世界を牽引できる技術と生産性を持っており、安全保障面
などほぼ全ての環境条件が整っているからです。
 政府は2020年東京オリンピックを日本が目指す水素社会の発信舞台として絶好の
チャンスと捉えています。既に昨年6月の国連部会では、日米欧など33カ国が
燃料電池車の安全性の国際基準で日本案を採用することを決めており、
日本メーカーは国内仕様のまま海外市場に輸出できる道が開かれています。
 
 また、これまで知財戦略がネックとされていた日本ですが、今回は先手を打って
おり水素の特許出願件数ではドイツ12602件、米国29677件に対し、日本は65023件
と圧倒的なシェアを占めています。1990年代から約20年に亘る開発技術の積み
重ねがようやく実利となって返ってくる日も近そうです。
 
 日本が水素を基幹産業として育もうとしているのは、水素の製造、貯蔵、輸送と
いったサプライチェーンの中で世界に誇れるトップ企業が存在するからです。
官民が協力して新しい日本の姿が築き上げられる今、その裏側には必ず既得権益
に群がる横槍が入ります。芽吹き始めた流れを支え続けるには、私達一人一人の
関心と声(世論)が何よりも力強いサポーターになるのではないでしょうか。
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