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セブンイレブンに学ぶこと(社説) 日経新聞 2月26日
・流通大手、セブン&アイ・ホールディングスのコンビニエンスストア事業であるセブン
イレブンが好調だ。2014年2月期の決算は、公表済みである第3四半期までの累
計としては営業利益、出店数とも過去最高を更新した。毎月の既存店売上高も12
年夏以降、前年同月比でプラスが続く。
・コンビニエンスストアもセブンイレブンも米国で生まれたものだが、いま私たちが目に
する「コンビニ」は、日本で創意工夫を重ねて育てた姿だと言っていい。カギは消費者
の目線だ。働く女性の増加などで「時間」が貴重品になる。そうした変化をにらみ、家
で作るのが常識だったおにぎりを、味や具材の工夫で主力商品に育てた。銀行も設
立し店内にATMを置いた。総菜の充実や入れ立てコーヒーの販売は、ファストフード
やコーヒーチェーンの経営を揺さぶっている。
・消費者の目線で考えれば社会や市場の変化にも敏感になる。かつては単身世帯の
増加を先取りし、深夜営業に先べんをつけた。近年は高くてもおいしいものを少量、
身近な場で購入したい高齢者などの需要を、高級食パンなどの独自商品で掘り起こ
しつつある。
・変化に敏感な姿勢は海外での事業にも生きる。経済成長で忙しい消費者が増え、都
市に人口が集まり、大家族が消える。世界の生活スタイルが均質化しつつある中、コ
ンビニの成長余地は大きい。御用聞きや弁当宅配など、日本で試みている高齢者向
けサービスは海外でも生きるはずだ。
・「小売りの王道は安売り競争」「消費者の価値観は国ごとに全く違う」という業界の常
識に挑み、生活習慣を提案し、業種などの壁を崩す。そうした姿勢には、業界を超え
参考にすべき点は多い。日本の産業界では、今も技術偏重の商品開発が目立つ。い
たずらな高機能競争は、使い方を習得するための時間や手間を惜しむ現代の消費者
とすれ違う。なぜ国境を越え人々の心をつかめたのか。学ぶべき点は学びたい。
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