「輝く今日を見つめて」2014.8.21

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「亡くなった主人を待ち続ける柴犬のこゆき」
こゆきは柴犬(しばいぬ)の雌で8歳。寛大さんが小学5年生の秋に家族の仲間入りをした。
寛大さんはこゆきが小さい頃は自転車のかごに入れて出歩き、大きくなってからは散歩を欠かさなかった。
 寛大さんは高校1年生の時、同級生とともに飲酒運転の男の車にはねられ亡くなった。
事故後、こゆきは遺影の前で涙を流す美也子さんに寄り添い、仏壇の前の座布団が寝床になった。
 映像は、飲酒運転根絶を訴える効果的な手段として、美也子さんの活動に協力する知人が提案した。
つてをたどって大手自動車メーカーのCMなどを手がける映像クリエーターの服部正典さん依頼した。
 服部さんは1月、仏壇の前で寝そべるこゆきを見て、一気にイメージが湧いたという。
「寛大さんを今でも待っているように感じた」。
5月末、散歩のコースだった寛大さんの母校の中学校などで約9時間かけて撮影した。
 CMは30秒間。寛大さんを探すようにこゆきが1匹で思い出の散歩コースを寂しそうにたどる姿が続き、
夕日の中でたたずむ最後のシーンに寛大さんの同級生の愛知望美さん(20)が「やめよう飲酒運転」
とナレーションを入れた。
制作費は美也子さんの協力者からの寄付金でまかなった。
 警察庁によると、飲酒運転による交通事故は厳罰化や取り締まり強化などにより、03年の1万6376件から
13年は4335件に減少した。
死者数も781人から238人に減っている。しかし、この5年間は200人台で横ばい状態が続いており、
今年も5月末までに全国で102人(前年同期比5人減)が死亡するなど、飲酒運転根絶にはほど遠い状況だ。
 美也子さんは「撮影中のこゆきに『寛大のために頑張って』と言葉をかけると、いい演技をしてくれた。
大切な人を失った悲しみは誰にでもある。
その悲しみを想像できるようになれば、飲酒運転もなくなる」と願う。

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