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省エネ型データセンター「4割省電力」アジア展開
まずラオスに
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、アジアで省エネ性能の高いデータセンターの販売を始める。まずラオス政府に、構築費用が従来の半分で、消費電力も4割減らせるシステムを納入する。ネットの普及が進むアジア新興国ではIT(情報技術)インフラの構築が急務となる一方、電力網の整備が遅れ電気料金が急騰している。省エネ技術が強みの日本企業は需要を取り込めそうだ。
コンテナに100台前後のサーバーを収納したシステムを販売する。サーバーから発する熱をコンテナ内で効率的に冷却し、消費電力を減らせる。従来のようなビルを建てるデータセンターより工期は3分の1に短縮する。コンテナ1台の標準価格は1億円強(工事費別)のもようだ。
ラオスと日本は、政府間で日本の技術を導入して温暖化ガスを削減する制度作りで合意している。データセンターを計画するラオス政府は、IIJの技術が有効だと判断した。ラオスではデータセンターがほぼ皆無で、政府職員も仕事のメールを米グーグルの無償メールサービス「Gメール」などに頼っているという。安全性の高いデータセンターの整備が必要になっている。
IIJはラオス政府と、設置場所や電源の確保、電力や温暖化ガスの削減効果などを来春まで分析し、来年度にもコンテナ数台を設置する。政府職員の業務データを処理する予定だ。
IIJはラオスでの実績をテコに、5年後にアジアを中心に海外で年50台のコンテナ型システムの受注を目指す。欧州や中国などからも引き合いがあるという。アジアでの通信インフラ構築の受注にもつなげる。
アジアではインターネット普及率が上昇し、マレーシアはこの10年で2倍、ベトナムは10倍に増えた。経済成長に電力供給が追いつかず、電気代は1年で3割以上値上がりした地域もある。IIJは、迅速に整備でき消費電力も少ないITインフラの需要は高いとみている。
日本のIT各社は技術を生かした海外展開を進めている。NECはサーバーと独自開発の冷却システムを載せ、消費電力を従来より75%減らしたシステムの海外販売を今夏に始めた。日立製作所はタイでコンテナ型データセンターシステムを構築し、東南アジア諸国連合(ASEAN)に供給する体制を整えた。
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