「輝く今日を見つめて」2016.3.24

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台風発電
            
2014年に創業したチャレナジー社が開発している台風をエネルギーに
変える風力発電、いわゆる「台風発電」の実用化が注目されています。
風力発電といえば、風車型の発電機を想像されるかと思いますが、こうした
発電機は台風の強風によってプロペラが変形したり、折れ曲がったりする
可能性があります。
 そのため、現在は台風接近時に運転を停止する必要があります。
 
 そこで、チャレナジー社はプロペラがない「垂直軸型マグナス風力発電機」を
世界で初めて開発しました。これは、円筒を気流中で自転させたときに発生
する「マグナス力」で動作する仕組みの発電機です。
 マグナス力とは、速度を持った空気の気流の中に、回転する円柱もしくは
球が存在する時、この円柱や球の回転運動に気流が引きずられ移動方向
もしくは流れの方向に対し、垂直に働く力のことをいいます。
 また、最大のメリットとして、円筒の回転をコントロールすることで、
発電量を制御できるため、台風など強風環境でも制御した発電を行うことが
可能になります。
 
 風力発電は再生可能エネルギーとして効率が高く、世界の再生可能エネ
ルギーの中でも発電量は水力に次いで2番目です。しかし、日本では太陽
光発電がメインで、風が一定に吹き続けている場所が少ないという要因から、
風力発電の比率は非常に低いのが実情です。
 実際、陸上の風力だけでも太陽光の約2倍、洋上ならば約10倍近くのエネ
ルギー資源を得ることが理論上は可能です。さらに、台風をエネルギーと
して利用できるようになれば、大型の台風一つのエネルギーは日本の
総発電量の約50年分に相当するとも言われています。
 
 現在実用化に向け、今年の夏、沖縄に実験機を設置し、本物の台風で発電
する実験を行う予定です。現在でも台風で壊れない発電機はありますが、
台風で発電ができる可能性がある発電機は今のところ垂直軸型だけです。
 実用化されれば日本だけでなく、フィリピンやベトナムなどの台風が頻発
する国々でも、安心して設置できる風力発電として非常に有効と考えられて
います。
 
 もし、台風発電が実用化されれば、世界初となり、今後日本が資源輸出国に
なるかもしれません。
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