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物流が拓く(上)宅配早く、遠くへ―高級イチゴ、翌朝に香港
2014/03/30 日本経済新聞
・香港郊外のフルーツ店でこの冬、イチゴ「紅ほっぺ」が飛ぶように売れた。1パッ
ク12粒入りで約2千円。高価だが、売り切れると諦めきれない客から予約が相次
いだ。
■日本品質届ける
・産地は徳島県鳴門市。午前中に収穫すれば空輸で翌朝には香港に届く。「国内出荷
と何ら違わない」と、生産者のフルーツガーデンやまがた(同市)の山形文吾社長。
活用したのはヤマト運輸が手掛ける「国際クール宅急便」だ。
・実は同サービスが山形社長の窮地を救った。2012年に富裕層を狙って香港でイ
チゴ生産を開始。無料通話アプリ(応用ソフト)「LINE」を使い遠隔で生産指
導していたが、昨年末「生育が思わしくない」とのメッセージが入った。
・「おいしくないイチゴが店に並べば『日本品質』に傷がつく。鳴門から送るしかな
い」。ヤマトが24時間運用の那覇空港に定温仕分け室を設け、小口の国際保冷輸
送サービスを始めたのは昨年10月。まさに渡りに船。現地生産と日本からの輸出
の2本立てにすれば需要増加にも対応しやすい。
・12年度の国内の宅配便取扱個数は35億個超と、この20年間で3倍に拡大。受
取時間帯の指定など使い勝手を高めて成長してきた。今度は「生産者とアジアの消
費者をつなぐ」(ヤマト運輸の梅津克彦グローバル事業推進部長)。政府が日本再
興戦略で掲げた農産品の海外展開を後押しする。
・書籍、日用雑貨、食品、家電……。日本郵便の新東京郵便局(東京・江東)。全国
の「ゆうパック」取扱個数の約2割にあたる約24万個を毎日扱う。目を引くのが
インターネット通販大手アマゾンジャパン(同・目黒)のロゴが入った段ボール箱。
運び込まれた荷物はベルトコンベヤーで1時間足らずで仕分けられ、都心中心部で
あれば最短30分ほどで注文主に届く。
・宅配便は午前に配送し、午後に集荷するのが一般的だが、日本郵便は普通郵便、速
達郵便など複数の時間帯で集配送をこなしている。この機動力をフルに生かす。
「(競合他社より)サービスが劣る印象が強いが挽回する」(長谷川実ゆうパック
事業部長)
・かさばるトイレットペーパーや重いボトルは持ちたくない――。ネットで注文を受
けた商品を自宅に届けるネットスーパーの全国展開をめざすイオンも日本郵便の顧
客。国内ネット通販市場は13年度に10兆円を超え、18年度に20兆円規模に
なる見通し。13年の百貨店とスーパーの合計売上高(約19兆円)を追い越す。
配送のスピード競争が買い物の姿を変える。
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