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「インドの教育事情」
約12億5000万の人口を抱える巨大新興国「インド」は、有権者数約8億人を
持つ世界最大の民主主義国家であり、IT分野での目覚ましい発展をしている
ことは有名ですが、一方で、世界最大の最貧困者人数を抱える国としても
知られ、大きな社会問題になっています。
原因として、一番に教育格差がとても大きいことです。それは、インドの
学校は80%が地方の農村部にありますが、貧しさゆえに教育に必要な機材を
そろえることが難しく、学校に行ったことが無い親たちが子供に勉強を教え
られないなど、都市部との教育格差が経済の格差に直接関係しているからです。
インドでは、世界でも一定の高い評価を得ている大学がある一方で識字率
(一般に初等教育を終えた15歳以上の人口が文字の読み書きが出来るかの比率)
100%を目指した、初等教育の試みを長い年月をかけて行われて来ていました。
しかし、2013年時点で183カ国中137位の識字率75.6%と新興国の中でも一番
低い結果となっています。そんな中でのIT分野の発展は収入格差を生み、1日
1.25ドル以下で生活する人口が全人口の3分の1に当たる約4億人と格差は広がる
一方です。
また、18歳以下の人口が世界一の約4億7千万人と多く、それが児童労働と
して働きますので、貧しい家庭の子供は勉強がしたくても勉強が出来ないと
いう弊害も及ぼしています。
この格差を埋めていこうと、IT分野の発展と共に急速にインターネット
利用者が都市部だけで無く農村部にも広がっています。2014年末でのインター
ネット利用者が約2億4000万人と見込まれ、アメリカを抜いて中国に次ぐ世界
2位の「ネット大国」へと発展を遂げています。昨年の5月にインドで行われた
総選挙で勝利したインド人民党は、ソーシャルメディアを巧みに活用し勝利
するなど、ネットの普及が感じられます。
総選挙の後に政権を樹立したモディ首相は昨年8月の独立記念日演説で、
貧困層や農村部にもブロードバンド環境を提供すると述べ、教育現場に
おいても広がりを見せています。
現段階において、初等教育における国民皆教育をほぼ達成しているケー
ララ州を除き、全インド的に見れば達成は未だ困難な状況が続いています。
しかし、IT分野の発展で各国からの支援でインフラ整備が整い、ネットの
基盤が社会の隅々に広まった時に、教育の大切さというものが感じられるの
ではないでしょうか。「教育こそ貧困を救う」という言葉が、何年後の
インドに訪れるのでしょうか。
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