「すみません」の前に

横浜FCはJ2の18位に終わった。これが現実、力不足。
「こんな成績で済みません」こう言いがちになるけど、僕はそういう言葉は言いたくないし、これまで使わないようにしてきた。
ふがいない成績をたたかれ、罵声を浴びても仕方ない。
ただ、プロが「ごめんなさい」と発言すべきなのは、自分が怠け、努力をせず、いいかげんに日々を送ってきたときのはずだ。
目の届く限り横浜FCメンバーはみんなまじめにやってきた。誠実に何とかしようとしてきた。それでこの結果なのは力がないとしか言いようがない。結果は認める。責任も負う。でも謝るのは少し違う。謝るべきことのないよう、常に自分のできることはすべて毎年してきたつもり。
だから僕のサッカー人生に「すみません」の文字はない。では謝るより何をするのか「さらに自分を高めていくしかない」といつも行き着く。
結果が出ないと必ず聞かれるのは「次はどう変えるのですか」僕のスタンスは「オフでも自主トレでも、やるべきことを、いつも通りやる」もちろんこの一年で「あの試合でこれができなかった、あれができた」と感じた部分があるから、やることの細部は変わる。でもそこへ向かう姿勢に変化はない。
何十年も続けてきたことを、同じ信念でやる。どこも何も変わらない。気持ちの限界は見えないし、思うに「本当の限界」なんて見られないんじゃないかな。
そこにたどり着けば人は幸せかなと思う。それこそ自分の求めてきたものじゃないかなと。
僕らが求めるのは「綺麗な辞め方」なんかじゃない。選手として一番いい時期ならとっくに過ぎているわけだから。
でも自分はサッカーで勝負している自分が好きで。白黒をはっきりつけるこの仕事が好きで。ここで得る充実感、つまりサッカーが好きでやっていて。「いつまでやるの」「ボロボロになるまで」——じゃあ肉体も精神もボロボロになるまでやって、その後生きていけんのかなとも思うけど、でもそれで楽しいんだよね。
今年一年、皆さんお疲れ様でした。次にここで会うのは2月。限界も見えないし、また頑張りますよ。
(元日本代表 横浜FC 三浦和良)