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103万円の壁を突き破る
女性の就労拡大を目指す安倍首相が、専業主婦に対する税制や社会保障制度上の優遇措置について、縮小の考えを打ち出したことを受け、「配偶者控除」などを見直す議論が開始しました。
5月中旬から有権者のヒアリングを行い、年末にまとめる15年度税制改正に向けて結論を出す方針です。
専業主婦の優遇措置とは、ご存知の通り、サラリーマンを夫に持つ専業主婦は、年金保険料を払わなくても払ったとみなされる第三号被保険者となり、夫の健康保険組合に被扶養者として加入できる制度です。
パート労働者として働いている場合でも年収130万円未満なら保険料はゼロ。
パート賃金が年103万円以下であれば所得税に配偶者控除が適応され、世帯全体で最大114万円が課税対象外となります。
このため、パート労働に従事する主婦の多くは、年収103万円や130円を超えないように「103万円や130万円の壁」を意識して労働をセーブするのが一般的でした。
そこで、この103万もしくは130万の壁が女性の就労意欲を削ぐ結果を招いているという通例のもと、配偶者控除と第三号保険者制度の撤廃が急務の課題と位置づけられました。
しかし、実際にその通例は今でも変わっていないのかと言われれば話は別です。実は、共働きの世帯は30年以上前から増え続け、専業主婦世帯は減少の一途を辿っています。
男女共同参画白書によりますと、1980年に614万件だった共働き世帯は、1992年に専業主婦世帯の件数を逆転。
現在では、約1.7倍の1054万件に増えました。
非正規雇用が増え、年功序列や終身雇用制度が崩壊し、将来の年金制度にも不安を抱える中で、共働きでリスク回避をせざるを得ない家庭が増えているからです。
就業していない非労働力人口は昨年、前年比34万人減少し、22年ぶりのマイナスになりました。しかも、男性が10万人増えたにもかかわらず、女性が44万人も減少しています。
この結果からも、果たして103万円の壁が女性の就労を妨げ、家庭収入を減らす元凶になっているかは疑問です。
女性の就労拡大が必要なのはわかりますが、103万円の壁がある事によって働いている女性が子供や家族と過ごせる時間を確保できるという見方もできます。
それであれば103万や壁を撤廃するのでなく逆に引き上げることで女性の就労を促す考えもひとつではないでしょうか。
働きたい女性が増えていることを踏まえれば、配偶者控除の撤廃のような突貫工事ではなく、待機児童の問題や子育て支援など母親の求めている意見を解決することが先決だと思います。
そうでなければただの増税にしかならないのではないでしょうか。
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