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目は脳に通ず
我々が目で見ているものは、現実そのままのものではないということは
多くの方が御存知だと思います。
我々が現実の姿として認識しているものは、目が映した視覚的情報を脳が
処理した映像です。視点を固定して一つの対象を集中している場合でも、
目と脳は常に動作を行っています。
絶え間ない眼球運動によってかき集められたツギハギの情報を脳が繋ぎ合わせ、
我々が視る一つの映像が完成し、広い視野を確保しています。僅か1秒でも、
脳は大変な作業を瞬間的に行っており、視るということに対する脳の負担は
計り知れません。
それだけに、視るということに対して脳が重要な役割を果たしているのはもちろ
ん、脳をより良く機能させるためには目と目に映るものを大切にする必要があり
ます。パソコンやスマートフォンの長時間の使用は眼精疲労を引き起こし、肩こ
りと相俟って鬱病の遠因になります。また、網膜がディスプレイの発する強い
ブルーライトの刺激を受けると、脳が「朝」と判断し、メラトニンという睡眠を
司るホルモンの分泌が抑制され、睡眠の質が下がってしまいます。
就寝前のパソコンやスマートファンの使用はできるだけ避けたいところです。
勿論、睡眠は脳の休息にとって大事なものですが、実は目を瞑るだけでも
大きな効果を得られます。視ることが脳に大変な処理を強いるということは、
目を閉じ視覚情報をカットするだけでも、脳への負担を減らすことに繋がります。
また、目を閉じれば脳がα破、つまりリラックス状態へと切り替わります。
夜眠れないときであっても目を瞑って横になるだけでも、脳にとっては
大きな休息となります。逆に、意識して視野と視るものに対する感性を
広げることで脳のトレーニングになります。
散歩一つとっても、様々な風景を視て、視覚的情報を得ることは潜在意識を刺激
し、脳の活性化に繋がるのです。いつもの道を漫然と歩くだけでは、
視覚情報も慣れによる自動化で処理され脳の刺激とはなりませんが、
見慣れた景色であっても、そこに注意、関心を払うことで鮮やかな感覚、
機微の発見を得、脳の情報が更新されていきます。
また、旅に出て見知らぬ土地を歩くことは新たな発見と小さな感動の連続であ
り、脳にとって刺激的な体験となります。旅路を写真に収めておくことも重要です。
写真を見て旅を振り返り、その時の感動や高揚感を思い起こせば、脳に対する刺
激は深まります。そうして揺り動かされた脳は、感情の豊かさや更なる好奇心へ
と導いてくれます。様々なものを視て、時には目を休めながら、
脳を大切にしていきましょう。
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